ミナト 螢

アルミ弁当箱の中で折れた
白い腕と脚には触れないでね

痛みが通り過ぎて楽になれば
心を守るのは包帯よりも
明るい色のリボンが美しい

鏡に映る姿を確かめて
踊る時間は蝶のように結ぶ
トゥーシューズをきしませる音だけが

輝きを掴まえるタイミングを
どこかで憶えて忘れずにいる

その名前をまだ知らなかった頃

空に舌を出し星と間違えた
金平糖とは程遠い味で

少し焼けた体が熱くなった

ひと粒の涙も流さず消えた
傷は誰かがフォークで付けたもの

蓋をして隠した場所に残った
ステップみたいに細かい跡だった


自由詩Copyright ミナト 螢 2019-10-23 06:49:25
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