ネットの宇宙
こたきひろし

地球から外へ脱出したい
毎日毎日が息苦しい

嫁を貰った
子供ができた
子供は大きくなって
おとうさんが死んだら
ちゃんと葬式だけは
してあげるから
と言ってくれた

なんて出来た娘だ
もし家族が
路頭に迷いそうになったら
あたし風俗で働くよ
と言ってくれた
女はまともに働いたって
たいしたお金稼げないから
どうせ減るもんじゃ
ないからって

誰だって
いつかお迎えがくる
いつ来るかが
わからないだけ

それまでじっと待っていられないから
汗水流したり
鼻水垂らしたり
時には
哭いたり
喚いたり

それまでじっと待っていられないから
暇をもて余さないように
生きてやるんだ

だけど
この息苦しさは何だ
自分一人分の空気だけじゃ足りないのかよ

嫁さんが閉経して
更年期になると
俺に言った

もうあんたとは
しないから
あんたの男は役目が終わったよ
それでも煩悩の鐘が鳴ったら
自分で叩いてね

いつかお迎えがくるまで
この息苦しさに
たえられるかな

でも死ぬって
この地球から脱出する
事じゃないよな

毎日毎日息苦しくて
たまんないよ


自由詩 ネットの宇宙 Copyright こたきひろし 2019-10-19 20:08:06
notebook Home 戻る  過去 未来