passacaglia
朧月夜

雨音ひとつ、ふたつ、ノイズのようで、
ふっているのかしら、
降っていないのかしら。
 
雨音ひとつ、ふたつ、シャコンヌみたいに、
ひらけば、触れられる、
窓のそと。
 
雨音、ひとつ、ふたつ。
きこえていて……
通りすぎたら、
 
そっともとに戻して、またひとつ。
ふたつ、ひとつ、ふたつ、ひとつ、
手さぐりにじかんを手ぐって、
 
雨音、ひとつ、ふたつ。
refrain がまたゆくね、
とてもひくい音で。
 
ひとつ、ふたつ、雨音。
あれはあかるい曲ではなかったかしら、と
木のみきにふれたときのざらつきを
 
そっともとに戻して、またひとつ。
ふたつ、ひとつ、ふたつ、ひとつ、
手さぐりにじかんを手ぐって、
 
雨音ひとつ、ふたつ。シャコンヌみたいに、
ひらけば、触れられる、
窓のそと。


自由詩 passacaglia Copyright 朧月夜 2019-10-18 15:04:42
notebook Home