左と右と真ん中しかない
こたきひろし

心に広がる空
心に流れる雲

その下に
広がる原野を
みつめていた

聞こえてくる風の音に
耳を傾けていた

死んだ父親

死んだ母親
そして
死んだ姉二人

風の音に入り交じって
死んでしまった旧家族の
しきりに私を呼ぶ声が
聞こえてくる

はるかに遠くから
段々に声は近づいてくる

私は耳をふさぐ
ふさぎながら
その場に
うずくまった



 
私はここにいる
ここから
離れたくない

だから
呼ばないで欲しい

私には
私の家族がいる

別れたくない
離れ離ればなれになりたくない

呼ばないで
呼ばないで
呼ばないで
呼ばないで

呼ぶな
あっちへ行け

引っ張るな
私の手を

しがみつくな
私の足に

私は死にたくない
私は死ねない
私は死なない

死んでたまるか

思いきり叫ぼうとして

暗闇に目を覚ました

すると生きている人間の声
妻の声

さっきからウルサイヨ
あたし眠れない!

「あっゴメン。何だか悪い夢を見てたみたいだ」
と謝ったら
「どうせあんたの事だからエッチな夢でもみてたんでしよ」
と妻は言った

言って直ぐに
「どれどれあたしが確かめてあげる」

私の真ん中に触ってきた

生きているあかしの真ん中に
 

 全然タイトルとマッチングできないでしま
 ったかも?まぁいいかぁ。無題よりは
 ましだっぺ。いけね、茨城べんだしちゃ
 った。 
 




自由詩 左と右と真ん中しかない Copyright こたきひろし 2019-10-17 05:37:08
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