帰宅電車
たもつ

電車に乗ると自宅の電気が消えた
おかしいなと思い電車を降りて電気をつける
大丈夫そうなので再び電車に乗る
今度は台所の水が止まらなくなってしまい
電車を降りる
蛇口を逆にひねると水は止まり改めて電車に乗る
電車は何時までたっても自宅がある駅に到着する気配がない
何かあったのか心配になり
電車を降りてリビングのテレビジョンをつける
特段変わったニュースがないことに安心する
そのまま妻といっしょに夕食を食べ
お互いに今日の出来事を話し
食後は一緒に洗い物などをした
電車がどのあたりを走っているのか気になって電車に乗ると
ちょうどリッスン・トゥ・ミーという関川先生の一言で
英語の授業が再開されたところだった
右手で吊り輪をつかみながら
左手で電車を畳んでポケットにしまうけれど
少しはみ出してしまう
はみ出たまま電車はスピードを落とさずに
夕日の中を走って行く
どこまでもひたすら走っていく
早く家に帰りたかった




自由詩 帰宅電車 Copyright たもつ 2019-10-16 21:34:21縦
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