新自由区
トビラ

くだらない

触れるまえはあれほどまばゆかったのに
手にしたはしからくすんでゆく
体液で汚れたシャツ

濃いめの罪で舌がしびれる午前六時

清潔な朝日にむかって石をなげるバカな人たち
ゴミを固めてつくった街は、端的に臭い
しょうがないね、人が住むところじゃなくて怪物の住むところだから
本当に、この街を徘徊していると心が冷たく固くなって、気持ちがいい
どこにも行けない苦しみで安心する
不幸そうな顔をしてれば誰とでも仲良くなれる

橋から降りようとしてる人、やめたほうがいいよ
ふりだしに戻るだけだから
地面とキスをしても唇がわれるだけだよ
それだったらさ、好きな人と唇を重ねた方がよくない

どうしようもなく秋に落ちてゆく午後六時

むかしむかしその昔、誰かに抱きしめてもらった
厚ぼったい温度が体のどこかにしみついてはなれない

生きたい

逝きたくて生きたくて
頭が痛むんだ


自由詩 新自由区 Copyright トビラ 2019-10-16 18:57:25
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