詩人達の夜とひとりの朝
服部 剛

月曜の夜 
オープンマイク「SPIRIT」に行った 

若い詩人達が輝いていた 
かれらをリードする主宰の詩人二人は 
言葉の夜の 
オープニングとエンディングで 
世を去った同世代の詩人に追悼の詩を読み 
瞳の奥には光の欠片かけらが滲んでいた 

静かな熱気を帯びてゆく
夜の朗読会に集う
黒い人影の後ろから少し離れて、僕は 
日々を歩み、闘い、自らを輝かせるかれらの 
血の通う言葉の物語を観ていた 

   * * * 

翌朝 ベッドから目覚めた僕は 
椅子に座り、考える 

昨夜フィールドの外から
詩人達の生の軌跡を観ていた
僕自身に問う 

お前はほんとうの〝時〟にいるか――?

背後の窓から 
街の何処かで漂う笛のの 
「コンドルは飛んでゆく」のメロディが
聴こえてくる 

僕の傍らで 
秋風にふわっとカーテンはふくらみ 
空のペットボトルが倒れ
机上に転がる 

風は云う 

――なんじの目の前のことをせよ 

僕は椅子から、立ち上がる 
今日という〝時〟を歩くために  






自由詩 詩人達の夜とひとりの朝 Copyright 服部 剛 2019-10-14 21:23:54
notebook Home 戻る  過去 未来