何もかも
ゼロハチ

何もかもが変わった

私の呼吸はずいぶんと速くなったように思う


誰かの言葉を受け入れるとき
このように穏やかな風が吹くなんて

あなたが生きていた時に知っていたらと考えていた


最期の日記にはさようならの文字もなく

せめてもの温かな気持ちで消えるようにいなくなった


私は長い間
一体何と闘っていたのだろう

獣のように命を丸かじりするだけの日々

誰にも声など聞かせなかったのに


思いがけず優しいひとに出会ってしまった



私が一番怖かったのは

生まれてからずっとあなたを傷つけ続けた
その私が幸せになってしまうこと


なのに

あなたは笑うように遊ぶようにいってしまった


日記には私の知らなかったあなたがいた
誰のことも傷つけまいともがくあなたがいた

生き写しの私はあなたを傷つけ続けていたのに


これからの私を見せたかった
これからのあなたを見てみたかった



生きていることはこんなにも短く


美しいとはいえない瞬間ばかりで成り立っている


それでも世界を愛おしいと思える一瞬がある



何もかも変わってしまった


私はもう歩いていかなければならないのだろう





自由詩 何もかも Copyright ゼロハチ 2019-10-14 17:17:05
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