フェアリーアイの妖精
丘白月


ピンク色の紫陽花
大きな鉢植えを
母の日に届けたとき
帰る私を寂しげに見るから
何度も会いにいった

初夏にはラムネ瓶のように咲き
涼しげに笑っていたね

秋には紙風船のように赤く咲き
ずっと部屋で話し相手に
なってくれていたんだね

今君は帰っていく
妖精の瞳と名付けられた君
精一杯季節を飛んだ君

枯れた花は宇宙の骨格で
心の岸辺に打ち上げられた魂

泡のように消えていく
また逢えるね
春になれば



自由詩 フェアリーアイの妖精 Copyright 丘白月 2019-10-13 21:32:38
notebook Home 戻る  過去 未来