疲れたり干からびたりしてしまいました
こたきひろし

人人人
人ばかりです
人間の社会ですから無理ないです

電車は人でいっぱい
駅のホームも人でごった返し
いい加減うんざりです

駅の階段を人が雪崩のように先を
急ぎます

雪崩に混じって
彼氏とあたし、しっかり手を握ってました
お互いがはぐれたりしないように
それはきっと愛情のなせる事に違いありません

私も人でした
雪崩の中で階段から一段足を踏み外しバランスなくして前に倒れ込んでしまいました

誰かが後ろから押したんです
あまりの出来事に驚く暇もありませんでした
それが故意なのか
偶然の結果なのかわかりません

犯人はそのまま消えてしまったか、どうなったかは
見当もつきませんでした
何人かが巻き沿いをくいました

その内の何人かが怪我をした様子でしたが
幸い私は前の人におおいかぶさる結果になって
事なきを得ました

私は素早く起き上がり
その場を立ち去りました

一組の男女が悲鳴をあげて立ち上がれなくなっていました

私は何も悪くありません
悪いのは私じゃありません
私を後ろから押した誰かです
と必死に心の中で言いながら
逃げました
何らかの責任を押し付けられるのが怖くて

しかし
私は普段は責任感が強く誠実な男の筈でした
少なくとも
私の周囲の目はそう見ていると思ってます
私はその評価を得るためにそれなりに努力してきたつもりですから

それが朝の通勤中の群集の中で思わねアクシデントに見舞われてしまいました


人人人に押し流されて私は
自分を見失いました

私はその場所にとどまらずに立ち去ってしまいましたが、もしかしたら防犯カメラの目にしっかりと記録されて、その内に事故の元凶として逮捕されはしないかと、その後気になって気になって仕方ありませんでした

その度に私は、私自身被害者なんだと必死に自分に言い訳していました

最悪、警察官の訪問を受けたらそれを説明して納得して貰えばいいと考える事で不安を打ち消そうとしていました

しかし不安は払拭できませんでした

それから何事もなく過ぎていきました

ある休日に私は若い男女の訪問を受けました
二人は同じ階に住んでいると言いました

私は二人を知りませんでした
同じ階に住んでいても

私は二人を知りませんでした

 フィクションです。ある女性シンガーソングライターの楽曲の歌詞から発想して書きました。未完です。
あえてそうさせて頂きました。


自由詩 疲れたり干からびたりしてしまいました Copyright こたきひろし 2019-10-13 07:20:37
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