モーツァルト 歌劇「ドン・ジョバンニ」
日比津 開

永遠の女性の敵、恋人の父さえ
殺してしまう悪人
泣かした女をカタログにし
楽しみ、数を誇るドンファン

また誰かが彼の犠牲者になる
次は婚約者がいる乙女の心を
揺さぶり東屋に誘う
悪魔のアリアを歌ってー


裏切られた女たちは
彼の後を追い、恨み
不実を訴えても
まったく意にかえさない
 
悪知恵を働かし
女たちの追求を交わし
次の獲物を求めていく
なんという稀代の悪党
絶対に許せない男

決闘で殺した騎士長が
亡霊となって現れ
悔い改めるよう促されても
断固として拒否し
最後には地獄の業火に焼かれる

女たちは一同
敵を取った勝利を歌う
しかし、彼ー
ドン・ジョバンニは
彼女達の脳裏から決して消えない

悪党が悪党らしく死ぬ
何という潔さ!
悔い改め、助けを求めたら
彼が彼でなくなる
そこに魅せられて
このオペラをまた観る




自由詩 モーツァルト 歌劇「ドン・ジョバンニ」 Copyright 日比津 開 2019-10-13 07:17:17
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