嵐の中で
佐白光


 風に打たれる窓ガラスが泣いている

 君の心にも風は吹いていたんだね

 刺すような冷たい風が

 感じられなかった

 いや 感じようとしなかった

 嵐の中で苦しむことからの逃避

 なにもなかったかのようにやり過ごし

 嵐が過ぎ去るのを待っていた

 君の心の堤防は決壊し

 あふれる水を掬ってやることも出来ず

 ただ見送った僕は

 敗者の烙印を受けとった


 


自由詩 嵐の中で Copyright 佐白光 2019-10-13 01:14:01
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