真夜中、出て行くなよな、バカ
秋葉竹


一人、枯野を駆ける
つまり、
蛇の心を、知るか?

おそらくその心に
なんの悪意もなく
あすに向かう希望の光が
灯っているにしても
一人っきりでは生きられない

愛することは罪なのだと
知らされた
午前2時の悲しみ

出て行ってって言った私の
心が見えなかったのなら仕方ないけど
こんな嵐の夜に
出て行かれた私はそれでも
君を好きなら
どうすればいい?

ただれる愛を捧げたつもり
君の舌には
甘すぎた?

つまりそういうことなの
愛には限りがないが
賞味期限があるとか
陳腐な
歌声
聴かすなよ。

私、一人っきりだ
この狭い部屋が
冷たくてだだっ広いほどの一人

かつて膝かかえ
涙をこらえていた
悲しみはやって来て
少し我慢すると
いつか消えて行った

そんな幸せな
まとわりつくむかしばなし

そんな、罪な、はなし。
バカみてぇ。

我、一人、
枯野を駆ける
しかして、蛇の道を歩むか
かつては幸せだった
今はもう偽れない
幸せな振りをしない

しかして、
蛇の心を知るか?

知るか!
そんなもん。




自由詩 真夜中、出て行くなよな、バカ Copyright 秋葉竹 2019-10-12 07:34:16
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