花嫁は夜汽車に乗らない
こたきひろし

あたしの新婚初夜はどんなだったかな?
すっかり忘却の彼方へと行ってしまったけど

手をどこまでもどこまでものばしたら
届いた

その時
二人とも緊張してた

それ以前に
特訓に特訓をかさね
練習しててもね

結婚式の夜はさすがに疲れてたから
ほんの触りだけで
気がついたら二人共寝てた

それはよくあるパターンらしい

翌日はハネムーンへと旅立った

すべては夢こごち
の一週間

最初の一夜が
あらためての
新婚初夜とあいなりました

えっちょと待ってよ
あたし
旦那様以外にも
彼氏いたんだわ

入籍した旦那様は
両親がとりもってぐれたご縁

学歴よし
お家がらよし
お仕事よし
収入よし

だけど
残念なから
見た目よしにはならなかった

だけどその足らないところは
お人柄がカバーしてぐれた

だけど
本来の彼氏は
イケメン

お仕事はアルバイト
他に大きな夢をかたってぐれた

あたし迷いに迷ったわ
どっちを選ぶかで

でも親のしいてくれた
幸せのレール選んでしまった

だけど
本来の彼氏
最後にメールをくれた

花嫁を奪ってやる
結婚式の夜に
今夜の汽車で旅に出るから
ついて来てくれ

駅で待ってる
駅で待ってる

あたし行かなかった
あたし行けなかった

けど
本来の彼氏は待ちぼうけのまま?

もしかしたら駅で待ってる

熱い
熱い
男だったから

あたしが
あたしの初めてを
あげたあの人







自由詩 花嫁は夜汽車に乗らない Copyright こたきひろし 2019-10-11 00:32:09
notebook Home 戻る