雲の子
丘白月

遠くへ行ってはいけないよ
ゆっくり行くんだよ
雲のお母さんは
小さな雲を心配そうに見送った

雲の子とカラスは
街へ出かけた

あの赤い雲は何?
あれは綿飴だよ

すごいよ口から雲が出てる
タバコって言うんだよ

すごいよ雲がどんどん生まる
工場の煙突だよただの煙さ

よそ見してるとぶつかるよ
雲なんていっぺんにさ
消えてしまうんだよ

川を流れる自分に見とれて
とうとう船の下に

カラスが心配そうに岸辺にで
船が過ぎるのを待った

でも雲の子はいなかった

雨が降ってきた
激しくいつまでも止まずに

カラスは濡れたまま空を見た

虹がやって来て
雨を集めて拾って行った
雲の子のお葬式のように

帰って行くんだ
またあの空へ
何度でも



自由詩 雲の子 Copyright 丘白月 2019-10-09 21:31:21
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