何もかもの背中
プル式

すべてが終わったと思ったのは
ありえない夢を見て憐憫な感情と
寂寥感に押しつぶされた朝

傘もさせない晴天の空の下
会社に向かう電車の中で
再び閉じたまぶたに夢を願ったとき

過去と現実と夢と願いの
すべてが僕の中で燃え尽きもせず
燃えかけで水をかけられた炭のように

水びたしで重たい炭の匂いと
裏切られた欲望への希望と
もはや届くことの叶わなくなった

スクリーンの内側で流されていく
思いが今ならわかる
それなのに僕はもう泣けない。


自由詩 何もかもの背中 Copyright プル式 2019-10-08 23:51:42
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