かたちたち いろたち
木立 悟






切りすぎた足爪
花嫁 花嫁
夜通し夜を押しのける
暗く蠢く四角い風


水のなかで踊る刃
片足の羽
夜に傾き
海と空と地の螺旋


折れないのか 原を蹴り
くりかえし 金と黒
くりかえし 片足を羽ばたかせ
地の昼を星に撒き散らす


親が在るのに親の失い子は
いつまでも無い花を集めつづける
踊りの終わりに聞こえ来る揺れ
最上階から階段を見下ろす目


丸い鏡を巡り消えるのは
重なりつづける薄い夢の層
つくろい ほつれ ほころび
めくれ めくれ 火のゆらぎ


片目の為の月と太陽
叫びと湿り気の作る水紋
あふれることなくあふれながら
夜明けに冷える霧雨とかさぶた


彷徨えばひとり
湧き立つひかり
海の下の工場
無数にのびる避雷針


夜を見つめる窓を渡り
円にも球にも受け切れぬ羽
朝に黒にむらさきに満ち
抄う手 抄う器に揺れる






















自由詩 かたちたち いろたち Copyright 木立 悟 2019-10-06 20:35:37
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