10/6(日) 曇り
山人



前ぶれもなくざわめき、ふるえ
雑用の手を止めて
窓ガラスの向こうの外側に向かってつぶやいていた

上手に作った紙飛行機がすんなり空気をつかんで
ひとしきり空の空気を楽しみ
決して落ちることなく
そのまま風を捉えて進むイメージ

風が衰え
冬へのいざないのための草草が会話を失い
おもいおもいの形で土の上に立っていた
わたしはまた草になり
湿度で飽和した黒土をながめている

平和過ぎた体内都市の治安はやはり破られたのだった
母艦の祈りは無碍にうしなわれ
電流が流れだして
私の筋肉を乱していた

いっそこのまま雨となって
あきらめに疲れた雨音の声を
永遠に聞いていたかった

日曜の朝
また粘液の様なくもりぞらが
飛行船のように空に浮かんでいる
いくぶん、体内都市は
平和を取り戻しているかのようであるが。


自由詩 10/6(日) 曇り Copyright 山人 2019-10-06 07:13:50
notebook Home 戻る  過去 未来