金色の額縁
田中修子
眩しい
イチョウの葉が、金色に
雨のように舞って、舞って
そのなかに入れずに ただ
見惚れていた から 憧れて
手を伸ばす
いったいなんなのでしょうか
金色に降りしきるイチョウのなかで
ひらひらと踊ってるみたいに、背に、澄んだ羽はありますか
うずくまっています すべて
遠くから
ああ、あの内がわに、舞い散りたい、踊りたい、と
願うだけでよかった
耳に優しいピアノの音が聞こえる
世界を憎んでいた、だからきっと、写真は綺麗だ
なにもかも
未満にもすら、なれない
だから
きれいごとをならべたて
切り刻む
(傷つけあうことで伸びる背から逃げようとしているなぜなら
子どもだから--子どもだからなのよ)
嘆き悲しみ花束を抱える
子どもの人でなしにかかわった幸福は
よくねむれますように
みずからの幸福を祈れるように
そこが
降りしきる金のイチョウの乱反射で
目を細め
さよなら
自由詩
金色の額縁
Copyright
田中修子
2019-10-05 09:36:25縦