幸せの玉
……とある蛙

幸せは昔掴むことの出来る玉だった。
それは時間が経つと色褪せ、
ついには砂つぶになってしまい
指の隙間からこぼれ落ちるようになった。
それは最初気づかないほど僅かで。

しかも気付いた時にはもう掴めないほど
手の中に砂つぶは残っていなかった。
その時、僕は砂つぶが時間そのものだとは気づかなかった。

つまるところ
幸せも時間の塊が光り輝いて
たまに見えたものだったのだ

だから手の中に砂つぶのなくなった今
床に落下した時間という砂つぶで山を作って
想い出と呼んで眺めている。


自由詩 幸せの玉 Copyright ……とある蛙 2019-10-04 05:30:25縦
notebook Home 戻る  過去 未来