言狐

馴れ馴れしく話しかけてきた空が
ぼくに飽きて離れたことに安心していた。

ひとりになったぼくは、青い朝が街にひっそりと
カーテンを少しだけあける頃、急に毛布が恋しくなる。
だけれども、冷たくあしらわれてしまった。
そんな些細なことに臍を曲げ
街へ出てみると、よそよそしい空気が肌に触れる。

居場所を探してまわりを見回すと
近く冬に色めき立つ木々がいちいち目に付く。

どこまでも孤独な季節だな、と独りごちた。


自由詩Copyright 言狐 2019-10-03 07:42:47
notebook Home 戻る  過去 未来