焦げた髪の毛
ふじりゅう

手垢が汚いフェンスをよじ登り
腫れぼったいふたりを夕焼けが刺す
車の影に空気を入れないように
石を蹴り始めよう
本当はゴールがどこかにあって
本当のゴールは躓かないと分からない
だけど君と交わしたハイタッチ
たぶんフィクションにしては柔らかすぎる

汗の臭い忘れるほどの
皮膚のあまやかな刺激
冷たい廊下の青空を忘れて
自作の鼻歌を歌った
街中のぬるい空気に
石を投げようと 君は言ってた

1度目の傷も2度目の傷跡も
最新のタスクに塗り替えられていく
垢まみれの歩道を
忘れていると
続きを書けない手帳の中に
焦げた髪の毛が 今も眠る
君の垢が タスクに埋まる


自由詩 焦げた髪の毛 Copyright ふじりゅう 2019-10-01 12:31:05
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