妖精のパレット
丘白月


見えるものぜんぶ
ゆるやかに塗っていく
冬が来る前に
秋が想い出になるように
温かな暖色に

聞こえる言葉ぜんぶ
刺を抜いていく
丸い実に変えていく
秋に涙が残らないよう
暖色の恋人に

落ち葉を敷き詰めた公園
木の上にいるみたい
私は小鳥の夢を見る
鳴いても鳴いても
いつもひとり

レンガの森で声がする
妖精がおいでと手招きする
手伝ってとパレットをもらう
身体が熱くなっていく
私の心は暖色になる




自由詩 妖精のパレット Copyright 丘白月 2019-09-27 21:39:17
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