湯冷め姫
la_feminite_nue(死に巫女)

王さまとお妃さまのだいじな一人娘です。
クレモンティーヌはもう年ごろだけれど、
縁談があるたびに破談にしては笑ってて、
「この国の将来はあんたんたるものね!」
とか、からからとした声をあげています。
王さまとお妃さまのだいじな一人娘です。
でも髪の毛をすこしカールにしてみたり、
ちょっとだけボーイッシュな口紅にして、
「さあ。わたしは中世の王子だよ、敬礼」
なんて、鏡を見ながら戯曲をえんじたり。
ある日お城の大きなお風呂からあがって、
ほっとひと息ついた、クレモンティーヌ。
王さまとお妃さまのだいじな一人娘です。
ときどきは馬にのって竜とたたかっても、
「湯冷めには、わたし勝てるのかしら?」
「ああぜったいにわたし、勝ってみせる」
とかって、好き勝手な勝負をいどんだの。
バスタオル姿で、たぶん3じかんくらい?
ストレッチをしたり、テレビを見たりで、
王さまとお妃さまのだいじな一人娘です。
クレモンティーヌはやっぱり湯冷めして、
「おしとやかになるには一人じゃだめね」
青じろい顔で、お嫁にいくって決めたの。
王さまとお妃さまのだいじな一人娘です、
クレモンティーヌはもう年ごろだけれど。


自由詩 湯冷め姫 Copyright la_feminite_nue(死に巫女) 2019-09-27 14:40:22
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