少女だった
あるみ




次の季節が
わからなくなる時がある


幼い日の写真のように
一瞬だけ切り取られて
動けなくなる



あの日
羽ばたいた蝶々の鱗粉が
鼻先をくすぐり
視線を逸らすことを覚えた
それだけは覚えている


新しい服に
染まらない自分を
今はうなづいて受け入れられる
上手くいかないお化粧も
失敗したパーマもネイルも
失くしたピアスも
愛しい私の鱗粉

誰かの鼻先をくすぐり
広がっていく世界の過程


切り取られた時間の中で
思い出そうとする
次の季節は何なのか
どこに行けばいいのか

風が鼻先をくすぐる

切り取られたはずの風景が
動きはじめる



わたし


少女だった










自由詩 少女だった Copyright あるみ 2019-09-27 09:56:07縦
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