存在価値
メープルコート


 生と死の狭間で虹を見ている。
 気に入らないものは排除し、生きてきた。
 気付いたら一人ぼっちになっていた。
 男も女も居なくなった。

 生と死の狭間で夕陽を見ていた。
 目の前には大海原が広がり、空にはトンビが飛んでいた。
 私は一人泣いていた。
 すべてが遅かった。

 死んだらだめだ。
 諦めたらだめだ。
 生きるのは辛い。

 いつしか自分の存在が消えていた。
 価値のない男が一人、海を見ていた。
 何も話す事などなかったんだ。


自由詩 存在価値 Copyright メープルコート 2019-09-27 00:42:56
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