太陽に
こたきひろし

太陽に焼かれた眼を
月明かりで癒す

繰り返し繰り返される
無味と乾燥の日々に色彩はなく

好きな人はいた
嫌いな人もいた

だが
多数を占めるのは
どっちにも分けられない人たち

お互いが無関心でいられる存在

爽やかな風が吹くときもある

凍結した風に内面の皮膚さえ
剃刀で切り裂かれる事もある

蹴落とされた奈落の底から必死に這い上がろうとしている自分がいた
片方の足にしがみついて離れない
得たいの知れない何者がいる
俺は無我と夢中で
もう片方の足でめちゃくちゃに蹴って蹴落とした
悲鳴があがる瞬間に
俺はそれが何者であるかに
気づいて愕然とした

長年連れ添った嫁だった

それは
俺の深層に眠る
心理か

太陽に焼かれた眼は
月の明かりで
癒したかった






自由詩 太陽に Copyright こたきひろし 2019-09-20 19:51:05
notebook Home 戻る