アンネ・フランクの家
丘白月

アムステルダムの妖精の想い出
第1話「アンネ・フランクの家」


生きていればまだ80歳の
お友達の話を聞いて欲しい

初めて逢ったのは
誕生日だった
だってプレゼントを手にして
とても喜んでいたから

リボンをほどくと
赤い表紙の日記帳

ロウソクの灯りの中で
あの子は私を見つけて
ずっと一緒にいてねと言った

私は守れなかった
けれど最後の日
ありがとうと言ってくれた
ごめんねと言うしかなかった

今も残るこの部屋で私は待つ
やがて生まれ変わって来る日を
カーテンを開けて
窓を開けて
入ることのなかった
日差しをたくさん入れて

この263番地のプレートが
錆びないように
いつまでも




自由詩 アンネ・フランクの家 Copyright 丘白月 2019-09-20 18:21:21
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