木登り
la_feminite_nue(死に巫女)

青いろが、水いろとどんなに似ていても、
空には雲がうかんでいる。
 
わたしは蜂蜜をとるために登ってく、
……そう。蜂蜜をとるために、
 
青いろが水いろとどんなに似ていたとしても、
空には、貝がらのように雲がうかんで、
 
「花束を手わたした」って、
彼女は言うの。すこしはにかんだ調子で。
 
「花束を手わたしたの」って。
「誰に?」って、わたしは聞いて、
 
聞いたけれど、そのままに、瞳をそらしてしまう。
……誰に、でもいいよね。花束だもの。
 
空には、貝がらのように雲がうかんで。
わたし、蜂蜜をとるために登ってゆく。
 
くまのぷーさんのように、ふうわり、
手をかけて、枝をつかんで。
 
空には、貝がらのような雲がうかんでいた。
「花束を……」って、彼女は、はにかみながら言うの。


自由詩 木登り Copyright la_feminite_nue(死に巫女) 2019-09-20 16:22:54
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