家庭内悲話
こたきひろし

女は男より先に起きて
朝食の支度して
出来たらまだ寝ている男のところにいって
耳元で甘く囁く「時間よ。あなた起きて朝ごはん食べて」
言いながら男の口に接吻した
そしてためらいながら「昨夜は良かったよ」って余韻を匂わせた

それがね
それがね
結婚前の男の想像に過ぎなかったなんてあんまりじゃないか

炊事洗濯掃除
そしてちょめちょめをつつがなくすませてくれるのが
女の役目
家庭を維持する最重要なサービスの提供の上に成立すると信じてた

確かに結婚当初はそれが実行されていた
それがずっと実行されると
男は信じてた

しかし
その内にひとつふたつとほころびはできて段々に増えていって
そこから先は文字にしたくない

家庭内の悲話
卑猥じゃなくて

女は子供を産むと一変する
鎧をきた戦士になって
男を従える

恋愛詩からはほど遠い
家庭内悲話


自由詩 家庭内悲話 Copyright こたきひろし 2019-09-19 05:38:00
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