露草つゆくさ
46U

(ああ、秋の空は露草を集めて染めるのですよ)
(あれこそまことの青ですわねえ)

天からつゆくさが降る、
つゆくさ、つゆくさ、
地が青に染まる、
つゆくさ、つゆくさ、
どこかで鈴がちりりと鳴る、
つゆくさ、つゆくさ、
青を浴びながらぼくは立ち尽くす、
つゆくさ、つゆくさ、

家々の屋根に青が降りかかる、
アスファルトのおもてを青が覆う、
ビルの谷間を青がとうとうと流れる、
ぼくはビニール傘をさして歩く、傘に積もるつゆくさ、
海いちめんにつゆくさ、テトラポットにつゆくさ、
波打ち際につゆくさ、くるぶしまでつゆくさ、
天の欠片なる青を地のすべてがすっくり抱き留める、

つゆくさ、つゆくさ、
青に埋もれて死んでいく、
つゆくさ、つゆくさ、
瞳もつめも青く染まる、
つゆくさ、つゆくさ、
ぼくの頭蓋を割ってくれ、
そこからわっとあふれる、
つゆくさ、つゆくさ、つゆくさ。



自由詩 露草つゆくさ Copyright 46U 2019-09-02 19:44:17
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