晩夏の雨
塔野夏子

濃密だった夏が
あっけなく身体からほどけてゆく
世界から色を消してゆくような
雨が降る
雨が降る

あの光きらめく汀を歩く
私の幻は幻のまま

それでも
夏はこの上なく夏であったと
青い頁に記して

いつのまにか其処に出現していた
静かな九月の扉に
ためいきとともに
そっと手をかける




自由詩 晩夏の雨 Copyright 塔野夏子 2019-09-01 11:34:43
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夏について