新宿2丁目のうた
梅昆布茶

ぼくのてのひらには何ものこってはいない
かどわかした王女を高い塔の小部屋に幽閉している以外は

王女の手のひらには小ちゃな貝殻と等分の人生の重み

新宿2丁目で飲み潰れている僕はいつか夢の中で
ジムモリソンみたいに歌っていたのかもしれない

毎日がstrangedaysで
だれも立派な楽器は持ってはいないが
すべての音楽を聴きたいとおもう

半世紀前に世界が変わったのは
ジミ・ヘンドリックスのせいだった

そしていちばんせつない歌姫は
ジャニスなのかもしれないのだけれど

哲学という重機ではほりおこせない
曖昧な岩盤が埋蔵された心で

ぼくのてのひらにはなにも残ってはいないさ
かどわかした王女以外にはたぶんね

だれも震えないで欲しい
ときどきは優しい雨にうたれてもいいじゃない

ときどき君のうたを盗みにゆくからさ
ビリージーンみたいに

あるいはマイケルみたいに

















自由詩 新宿2丁目のうた Copyright 梅昆布茶 2019-08-31 12:59:02
notebook Home 戻る  過去 未来