野紺菊
山人


蛾がおびただしく舞う
古い白熱電球のもとに
私はうずくまり
鉛の玉を抱えていたのだった

来たる冬はすでに失踪し
魚眼のように現実を見つめている
そして体内に大発生した虫
幼虫の尖った口が震えながら胸をつつく

すべての事柄に
深い意味があるのなら
まるで体をなしていない
この鉛の塊に
どんな意味があるのだろう

夏は終わった
やがて道端には、あの
鮮烈な紫色の野紺菊が
きっと咲くだろう

しろい決断の前に
あざやかな色どりの野紺菊が
少しでも胸の虫どもを
やさしく殺して欲しい


















自由詩 野紺菊 Copyright 山人 2019-08-26 06:24:28
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