セーヌ川の妖精
丘白月

パリの妖精
第9話「セーヌ川の妖精」



誰が流してくれたの
子供だろうか恋人かもしれない
マロニエの葉が一枚
セーヌ川をいく

マリー橋の欄干から妖精が
舞い降りて横になり
葉に揺られ空を見る
いい匂いのマロニエで夢を見る

いくつも橋をくぐって
古い石の精の声を聞く
何処へ行くの妖精さん
ここはもうポンヌフだよ

一番古い橋ポンヌフの精が
笑いながら呼び起こす
私の楽しみを教えてあげる
妖精さん耳をすましてごらん

聞こえるかしら言葉が
恋人たちの愛の言葉が
上手くいくように祈って
この橋が想い出になるように
私は毎晩愛の言葉を数えるの

妖精はポンヌフの方が
愛の言葉を知ってるよと言う
きっと恋人はこの欄干に
愛を感じて来てるんだよと言う

セーヌ川には街の灯りが
オーロラのように流れていた



自由詩 セーヌ川の妖精 Copyright 丘白月 2019-08-25 18:52:22
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