たいら

ただ足を動かしてさえいれば
前へ進めると思っていたんだ単純に
格好悪くていい
ゆっくりでもいいから
ここから抜け出したかったんだ

右足の次は左足
順番に足を前に出すだけ
転ばないように覚束無い足取り
真新しい靴の底はまだ減っていない

のに疲労困憊
もう一歩も進めそうにない
変わらない景色
変わらない自分
本当はその場で地団駄踏んでいた
どこにも行けずどこにも行かず
足掻いてもがいて
努力している振り

薄っぺらい願いは宙を舞い
言葉にもなれず消えていく
投げ出した僕の右足は
所在なさげに宙をさ迷う。


自由詩Copyright たいら 2019-08-22 06:37:43
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