知覚の扉
田中恭平


少年的メランコリア
どこにもいばしょがないのなら
どこにもいばしょがなかったから
アメリカ文学の
扉を叩いた
それは知覚の扉
つまりはんたい側まで突きぬけろ
ジム・モリスンはもちろん
ジャック・ケルアックの闊歩する路上
アレン・ギンズバーグにカート・コベインのノイズ・ギター
バロウズの食卓は裸のランチ
とにかくとおくまで
インターネット回線を味方につけろ
どこも用なし
洋梨をふるまって告げられる
おまえは用なし
ハハ
わたしは本を読んでいるよ
言葉はきれいだ
わたしと違って
でも言葉はウィルスでもある
クリーンをさいきん好んで
足早にどこへいく?
いったろ
いばしょなんてなかったんだ
図書館に行ってもウズウズしている
デジャヴみたいなタイトルの本
しか
並んでいない
わたしはこわれた言葉で遊んだりしない
そんなことはもう飽きた
とてもしずかな川へ来ている
川、川、川
芥川、は
ゴミの散った川って意味かい
手、を、ひたしてみる

 


自由詩 知覚の扉 Copyright 田中恭平 2019-08-14 09:08:16縦
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