八月の汽水域/即興ゴルコンダ(仮)投稿
こうだたけみ

卓上カレンダーを差し替える。
背後から「八月だ〜!」って声がして、
「そうですねえ(なんか元気だな上司)」と応じる。
「アテレコしちゃった」
そう言われてようやく気づく。
「あはは、もっとテンション低いですねえ、もう八月かーって」
「こうださんならたのしそうに言うかと思って」

そうか、そんなふうに見えるのか私は。

以前よりふくふくと
健康そうな見た目に
三カ月置きの治療後
もれなくの体調不良
帰りたくない実家へ
父の墓参りする八月
七月の晦日の夜には
ウィルス性の咳一つ
肺炎にはならないで
ちいさく身体に祈る
私たのしそうですか
よかった、それなら

ハリボテ建物 ひっかかった丸い夜
顔を交換して ぴったりな中身
陰っているのは あからさまであるのに
歪んだ椅子は 半分に割れたまま

ひっかかって夜になって
もう飛べない飛べやしない
夜と朝の合間(い)に
朽ちた脚だって立つしかないから


自由詩 八月の汽水域/即興ゴルコンダ(仮)投稿 Copyright こうだたけみ 2019-08-01 23:15:27
notebook Home 戻る  過去 未来