痛み
帆場蔵人

あるくとおく、流れ流れて
流されてきた弱さを恨むのか
水にとけた光に問いかけた
転倒した月日の果てしなさ

ただ勘違いしていただけだ

月日は数えるだけしかなく
切り売りして歩くお前など
誰が買うというのか、痛みだけだ
残されたのは痛みだけだ、痛みは
確かな明かりではないか、痛みは
手が、足が、鼻が、背中が、
ある、と知らせてくれたのだ

倒れこみ水は冷たいと知る

転がり続けて仰ぎみた、風にうごめき

はりつめた空を割いて

花が、わっ、と、咲いて、いた

もう、歩く、こともない

地に根が満ちるような痛覚は
ひとのかたちをしていた


自由詩 痛み Copyright 帆場蔵人 2019-07-07 21:33:12
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