No spring chicken
かんな


朝が来ると鏡の前でこい。を頭の中で漢字に変換をする。雑踏を歩くと踵が痛い、世の中に埋没する生き方を足し算し続けると、私は空を見上げない、結局地面を見下さない。黒板の文字がぼやけて、目を細めると現実がかすむ。授業では教えない、バランス感覚って何なのか。右と左、大切なものを天秤にかけることの愚かさに気づいていても結局失う。もう若くない。という言葉を誰かがチョークで書くと、日直の私はその文字を消し続けている。ゔぃぃぃん、と人生の粉を吸い込み続ける夕焼けが、今日はやけに綺麗だ。


自由詩 No spring chicken Copyright かんな 2019-06-30 07:31:49
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