孤独とは闘えないよ
こたきひろし

孤独を愛してるなんて
自分に大きな嘘をついてる

しかしそれは
ただ単純に自分以外の人間と
うまくやっていけないだけ
そして好きな人と
嫌いな人間とをはっきりさせてしまい
上手に自分に言い聞かせられずに
線を引いて円をかいて
その中に自分を閉じ込めてしまう
弱くて脆い愚か者
なだけ

子供の頃には
すでに生きてる事に何の意味もないと結論を出してしまっていた
それはもしかしたら生まれる以前から解答欄に答えを記入していたのかもしれない

けしてそれは突然変異ではなくて
まれな存在とも言えないだろうと思う

実に可愛げのない可哀想な子供だったに違いないが

母親には見抜かれていた


だから
祖母がいきなり倒れてその日の内に息をひきとった時
その遺体の側で泣き出した孫をみて
集まった親類の一人が「おばあちゃん子だったからな」と声に出した時
母親は独り言のように周りに聞こえないように
それでいて私にはちゃんと聞こえるように冷たく言ったのだ
「この子供はそんな子じゃない。嘘をついてるだけだよきっと」

私はずっとずっとその声と言葉が耳の中で蝉の時雨みたいに聞こえて来ることがあるのだ
でも
そんな子供は案外沢山産まれていて
ある種の欠陥を備えながら
それなりに成長して
社会の中に紛れこんで
生涯を終えていることに
周りはほとんど気づかずにいるだけなのだ

腕力も
財力も
知力も
学力も
孤独には無力
孤独とは誰も闘えないし
闘うなんて
ナンセンス
勝てる訳ないんだよ


自由詩 孤独とは闘えないよ Copyright こたきひろし 2019-06-26 05:36:49
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