神業のようなものだから
朝焼彩茜色

育児は神業のようなものだから
30点くらいでちょうどいい
疲れた時は 衣食住のお世話だけでいい
自分の子供ではなく 地球人を育てている
と思えば 程よい距離感が生まれる

子供に振り回されて
振り回されてなるものかと意地になる自分が
時にいとおしく幼さを感じる
自分も子供だ
きっと神業を使えるのが大人だ 本物の
だから育児は赤点で合格
自分は 子供のままでいい
一緒に泥んこ遊びができるから

子供に怒り過ぎてトイレで泣いた事もあったけど
最近慣れてきたのか自己嫌悪で泣かなくなった
ぐじぐじと自分の子供の頃の歴史が垂れてくる
頭いっぱい使って山のように計算を解いていく
首を左右にしか振れず空と大地が見えない
酷使の中に酷使の斑点がぶつぶつわいてくる

ある日もう何に怒っていたのか忘れたけれど
掃除機をばんばん床に叩きつけて私は子供に
怒鳴っていた
そして私は警察を待っていた



来ない

幼児虐待の疑いで通報されたと思っていたけど
警察は来なかった
ご近所さんも関わりたくないよね
どうしようもなさを どうにかしたく
私は子育てホットラインに電話した

「お母さんよく電話かけてくれたね ありがとう」

きっと自分はこれからも赤点で合格なのか
時に確かめたりするかもしれない

あっという間に巣立ちゆくであろう子供たち
母歴5年 人生がより不思議さを増してゆく
その不思議さを想う時間は今はあまりない


自由詩 神業のようなものだから Copyright 朝焼彩茜色 2019-06-25 11:39:30縦
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