剥き出し
帆場蔵人

そろりそろりと剥ごう
皮をつつつ、と剥ごう
夜を剥いで朝を剥いで

私というものが
どこでもない場所で剥き出しで
死んでいる、或いは

台所で皮を剥がれた
剥き出しの野菜や肉に混じって
切り分けられ、冷凍され鍋で
煮込まれ、皿に盛られて

要らぬ皮や脂はゴミ箱や
排水管に流されていく私というわたし
俺というおれ、だれかに喰われていく
無造作に噛み砕かれ、また噛まれもせずに

あらゆる場所ですべてが剥き出しに
なっていく、もう夜も朝も昼もなく
どこでもない場所を向いて
洗濯物に混じって剥かれた私の皮が
まるで人ごとのように下がっている

庭の飛び石の間で
ごろり、と無造作に
なにがあろうとも赤剥けくたびれ

俺は新鮮に死んでいたいのだ


自由詩 剥き出し Copyright 帆場蔵人 2019-06-22 22:30:01
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