かげおくり
帆場蔵人

自分が動けば影が動くことを
不思議に思ってしまった少年は
影の、また、影の連なりに戯れ続け

いつのまにか大人と呼ばれるようになり
ふと、空を仰ぐ、影が空に送られていく
少年は空にあり空は少年のうちにあった

もう、春夏の声が舞散る
枯れ葉のみえない足音に変わり
影だけを纏い歩いていた


自由詩 かげおくり Copyright 帆場蔵人 2019-06-20 20:41:53縦
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