否定する
こたきひろし

どんなに練習しても
練習の成果は得られなかった
鉄棒の逆上がり
何度も挑戦したけれど
出来なかった

だけど
そんな子供はクラスに何人かいた
何人かの一人に私も含まれていた

夕日は沈み
朝日は昇る

逆上がりの出来なかった子供は
大人になっても
大人になれなくても
鉄棒にぶら下がったきり空を見上げたままだ

夕日は沈み
朝日は昇る

何度探しても太陽は一個しかなかった

一個しかないお日様を追いかけた
お日様が地平に隠れてしまうまで
必死に追いかけた

そんな
子供の心は
何処にいってしまったんだろう



放課後の校庭
落日の空の下
誰一人いない校庭には
錆のついた鉄棒があった
鉄棒の近くには砂場があって
逆上がりの出来ない子供の
悔しさと泪が埋まったままだった




自由詩 否定する Copyright こたきひろし 2019-06-18 00:47:34
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