鏡の中の砂漠
こたきひろし


歯を洗い 顔も洗い
だけど
洗面台の鏡は覗かない

自分の顔や頭髪
見たくない

清潔でも綺麗でもない
日々美しく老いていない
それどころか
老醜が鼻をついてくる

でも
朝がくる度に
洗面台の鏡の前に立って
歯ブラシを使い
両の手で顔を洗う

それは習慣
だから

顔だって
歯だって
髪の毛だって

時が来れば
燃やされて灰にされて

しまうのにさ





自由詩 鏡の中の砂漠 Copyright こたきひろし 2019-06-17 00:23:14
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