得体のしれない不安と得体のしれてる不安が
こたきひろし

私は終始
得体のしれない不安に付きまとわれていた
なんてね
そんな言葉をずっと文字してみたかった
まるで売れない純文学作家の小説のテーマみたいだな

学校とか職業とか
異性遍歴とか
過去を振り返れば
たいしたことない私には
得体のしれない不安なんか
宇宙にころがる星屑の中の砂漠みたいなもんさ
そこで
砂嵐をみるようだ

私はもっぱら得体のしれてる不安にいつも追い回されてるよ
それはまるで世俗的かつ現実的な事柄
いちいち文字にするまでもないから
どうぞ自由に想像して欲しい

この国の雨季と表現していいのかな
近年世界中に起きている異常気象の中で突然変異は起こらなかった
今年も来たよ

鬱陶しい雨が降り続いていた
抱えている得体のしれてる不安に蝕まれながら
黴がはえてくるような気分になっていた

まるで空虚な毎日
それでも仕事に出掛けなくてはならない

働かなければお金を手で触れなくなる
だからお金の収集によねんがないんだ
お金は人間の生殺与奪の力を持っているからね

いったい口は言葉を話す為にあるのか
食べる為にあるのか
それとも愛する異性の柔らかい皮膚を舌で舐める為にあるのか
もう
訳がわからない

得体のしれてる不安が蛞蝓のように這っていて


自由詩 得体のしれない不安と得体のしれてる不安が Copyright こたきひろし 2019-06-15 00:19:39
notebook Home 戻る