五月の鋭敏
新染因循

雨と雨との距離を測りかねて
戸惑いに揺れる傘は
五月の鋭敏にやられた心です
ビル街はところにより墓地のよう
予報どおりに雨は止みました
枯れかけた花束の空ですけれど
新緑が瑞々しいですね
と声をかけたくなったり
それを恥じて俯いてしまうのは
どうしてでしょう
考えても、検索しても
ツツジの蜜を啜ってみても
わからないままです
わからないまま
五月が終わろうとしています
いつもと変わらない煌きで
夕暮れが眩しいですね


自由詩 五月の鋭敏 Copyright 新染因循 2019-06-14 23:48:55
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