雨後に
帆場蔵人

雨の雫に濡れた畑の瑞々しさ
自然を開き破壊して得た日々の糧
だからこれほど輝いているのか

ぬかるんだ畑に足あとがみえる
だれの足あとかは知らないが
きっとだれかの足あとで

あなたもこの畑の瑞々しい緑の間を
何が正しいのかと自問しながら
歩いたのだろうか、だれかの足あとよ
それは誰かのひとつの道だろうか

ひとつの道、わたしが進むべき
ひとつの道、さがしてたたずむ
ひとつの道、道をつくるのだ

ゆっくりと畑の足あとを追い
トマトを胡瓜を籠につみながら
よく肥えたトマトをひとつ残す
この後に来るだろう生命に残す

かたわらには水や雲の路があり
生命は常に動き続け過ちも悔いも
呑みこんで道を路をつくり続ける

もう自然ではあり得ないけれど
あの葉から滴る雨の足音のように
大地に足あとをつけてひとの道をゆく


自由詩 雨後に Copyright 帆場蔵人 2019-06-08 00:57:12
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