《繭》
ハァモニィベル

.


掌のうちに、唇の奥に、自分を殺したきみ、ぐしゃぐしゃになって、ギイギイと揺れ始めてからもずっと……、ずっと、ずっと、沸き起こる渦のなかを飛行するわたし、刻と刻を繋いでいく刺の先にだけ在る希望が、畝る海のように幾重にも畳まれたまま、深層の匂いの中で、また蛹のように絹の柩に包まれている





掌のうちに、唇の奥に、

自分を殺したきみ

ぐしゃぐしゃになって、

ギイギイと揺れ始めてからもずっと……、

  ずうっと、ずっと、沸き起こる渦のなかを

飛行する私


  とき と トキ を


繋いでいくとげの先にダケ在る希望が、

うねる海のように

幾重いくえにも畳まれたまま、


  深層の匂いの中で、また

サナギのように  絹のひつぎに  くるまれている





掌のうちに、唇の奥に、………






.


自由詩 《繭》 Copyright ハァモニィベル 2019-06-06 19:06:39
notebook Home 戻る  過去 未来